最近、新入社員の書いた文章を添削する機会があります。
私は「文章を書くことが仕事」のライター業ではないので、あんまり専門的なことはよくわからないのですが、少し気になることがございまして。
それは、
段落を分け過ぎぃ!
ってことなんですよねー
具体的にいうと「1つのテーマに対し、400文字程度(原稿用紙1枚分)の文章」を書いてもらったら、段落が12個もあるんですね。
最初は1文章ごとに段落を変えているんじゃないか? と疑ったんですが、どうやらそうでもないんです。たまに2文章で1段落が構成されていることがあります。
これはいったい何事でしょうか・・・
私のイメージする段落は「意味のまとまり」
私のイメージする段落は「小テーマや用語、意味に関するまとまり」です。つまり段落が変わることで、「意味の区切り」が生じます。
例えば「単糖類」をテーマに文章を書くなら、
単糖類とはこれ以上加水分解できない糖類をいう。栄養学的に重要度の高い単糖類は、グルコース、フルクトース、ガラクトースの3つである。これら3つの単糖は、6つの炭素原子をもつため六炭糖(ヘキソース)と呼ばれる。
グルコースはブドウ糖とも呼ばれ、・・・
って感じですね。
まず「単糖類の概要」を最初の段落に書き、次の段落に「グルコースの詳細」を書くという構成になります。
こういう文章をうちの新入社員に書かせると、
単糖類とはこれ以上加水分解できない糖類をいう。
栄養学的に重要度の高い単糖類は、グルコース、フルクトース、ガラクトースの3つである。
これら3つの単糖は、6つの炭素原子をもつため六炭糖(ヘキソース)と呼ばれる。
グルコースはブドウ糖とも呼ばれ、・・・
みたいな感じになっちゃうんですよね。箇条書きかな!?
なので、文章を書いてもらう度に、「段落っていうのは、意味のまとまりであって~」みたいな指導をするわけなんですが、イマイチ伝わってない気がするんですよね。私の指導力不足もあるんですが、段落に対する認識のズレがあるような気もしていたんです。
「段落=意味のまとまり」ではない!?
私のイメージする「段落」と新入社員のイメージする「段落」に剥離があって、もしかして私の方が間違っているのでは? と思ったので、ちょっと調べてみたら、はてな編集部ブログ「編む庭」に興味深い記事をみつけました。
ところが最近では、大学でICT教育の一環として(Microsoft Wordのような)文章作成ソフトウェアで学期末の「レポート」を書かせると、行末まで書いたら(ソフトウェアの機能として)自動で折り返されるにもかかわらず、適当な句読点の位置で自分で「改行」を入れる学生がかなりおり、わざわざ「改行しないでください」と指導しなければならないという話を、大学教育にかかわる知人から聞いたことがあります。
―(中略)―
これは学生に限ったことではなく、いまや私たちが日頃から接している執筆環境、つまりインターネットのチャットや掲示板、SNSやメッセンジャーでのやりとりにおいては、おもいつくままに書き、おもいつくままに区切って、1行あるいはもっと短い言葉の固まりを「投稿」しています。わざわざ長文のテキストを書いておきながら、Twitterの文字制限にあわせて分割して「連投」する人さえいます。
このとき「段落」という意味のまとまりを意識することはあまりありません。むしろ、こういった言葉がほとんど「会話」であることを考えるなら、書き言葉の世界に「話し言葉」が混ざってきているとも言えるでしょう。改行には意味があるというこれまでの常識を離れ、日本語の書き方を「話し方」として身に付ける、新しい文言一致が起きているのかもしれません。
はえー、めっちゃ納得。
LINEやTwitterなんかはその典型ですよね。文章ではありますが、会話的な要素が強く「意味のまとまり」を意識した段落は存在しないですよね。
このブログの文章も似たようなもので、「意味のまとまり」ではなく、「読みやすさ・見やすさ」を重視した改行(改段落)を行っています。
インターネット媒体・画面(モニター)越しに見る文章っていうのは、紙ベースでの文章と「改行(改段落)」の役割が異なっていて、そういう文章に触れる機会・時間が多い人にとっては、必ずしも「段落=意味のまとまり」では無いってことなんですね。
用途に応じて、改行(段落)の役割は変わる
だからといって、紙媒体の文章で「意味のまとまり」ではない改行(改段落)をするのは美しさに欠けるので、やっぱり正しい文章の書き方的な教育は必要なんだと思います。
でも最近は、企業の広報がブログやSNSを使うことがあるので、そういう場合は「読みやすさ・見やすさ」を重視した改行(改段落)が必要なんだろうなぁ。改行のないOutlookメールとかクソ見にくいし。
これからの時代、文章を書くにも「用途に応じた文章の書き方」を学ぶ必要がありそうですね。