最近、ツイッターなどで『シンデレラ体重』が話題になっていたので、管理栄養士として警鐘を鳴らしておきます。
結論からいうと、『シンデレラ体重を目指すと、将来の健康を損なう可能性が高い』といえます。
シンデラ体重はBMI18.0
『シンデレラ体重』を検索してみると、
シンデレラ体重とは、モデル体重のことで、女子中学生や女子高生のティーンの間で理想の体重とされている「身体が最も美しく見えるための体重」のことです。
(中略)
この適正体重を約8割の体重にしたものがシンデレラ体重です。その計算方法は、シンデレラ体重=「(身長m)×(身長m) ×20×0.9」です。
とあります。
・・・とありますが、シンデレラ体重って要するにBMI18.0の体重のことなんですよね。
BMIとは、体格指数のことで臨床の現場でもよく用いられている指標です。
BMI=体重÷身長(m)^2
で算出することができます。
で、その判定基準は、
- やせ:BMI<18.5
- 普通:18.5≦BMI<25.0
- 肥満:25.0≦BMI
となっています。
で、シンデレラ体重の計算式中に“20×0.9”ってありますけど、これはBMI18.0の体重を計算していることになるわけです。
つまり、シンデレラ体重というのは、ただの『やせの体重』といえるのです。
シンデレラ体重と標準体重の比較
シンデレラ体重に対して、標準体重というのがあります。
標準体重はBMI22.0となる体重で、
標準体重=身長(m)^2×22
で算出することができ、これが一般に『理想的で健康的な体重』といわれています。
では、具体的にシンデレラ体重と標準体重を比較してみましょう。
お分かりいただけましたでしょうか。
身長にもよりますが、シンデレラ体重は標準体重と比べ、9~12kgも少ないですよね。
いくら“身体が最も美しく見えるための体重”だったとしても、健康的な体重とはほど遠いといえます。
(そして個人的にはBMI18の体重が、“身体が最も美しく見えるための体重”とは思えない)
シンデレラ体重が骨粗鬆症や貧血、無月経の原因になる
わが国では『肥満=悪』という考えが浸透していますが、『やせ=悪』という考えを持っている人は少ないですよね。
実は、やせも健康への悪影響があります。
若いうちは、やせによる悪影響を感じることは少ないかもしれませんが、やせは将来の骨粗鬆症や貧血、無月経(月経不順)などの原因になります。
だから、不必要な減量を行うことが、将来の骨折リスクや不妊リスクを上げることになるのです。
そして、これらの疾病・病態は短期間で回復させることが難しいということも、知っておいてください。
シンデレラ体重を『目指す』ことはやめよう
体重というのは個人差が大きいので、BMI18のシンデレラ体重でも健康的な人はいます。だから『シンデレラ体重=不健康』というレッテルを貼るのも良くないなと思います。
でも、健康的な体重(18.5≦BMI<25.0)の人が減量してシンデレラ体重を目指すのは勧めません。
本来、減量というのは過剰な体脂肪を減らすために行うもので、BMI25.0以上の肥満者がするべきことです。
肥満でない人が減量すると、脂肪だけでなく、体を構成するたんぱく質が分解されてしまいます。体たんぱく質の減少は、低栄養や貧血、浮腫(むくみ)の原因にもなりますよ。
さて、骨粗鬆症で低栄養で貧血で浮腫がある人が美しく見えると思いますか?