管理栄養士という職業柄、「この食べ物って、体に良いの?」という質問を受ける機会が多い。
私は、この手の質問に対して「体に良いって何?」って返答することが多い。質問を質問で返すというマナー違反を犯すのだ。
でもこれは意地悪をしているわけではなく、正しい回答をできないからゆえの苦肉の策なのだ。
体に良いとは?
そもそも体に良いってなんだろう。
痩せることだろうか。太ってる人が痩せるのであれば、それは体に良いことなのだろう。でも、痩せてる人がさらに痩せてしまったら、それは体に悪いことなんじゃないだろうか。
血圧を下げることだろうか。高血圧の人の血圧が下がるのであれば、それは体に良いことなのだろう。でも、低血圧の人の血圧がさらに下がってしまったら、それは体に悪いことなんじゃないだろうか。
といった感じで、「体に良いの?」という質問は、非常に大雑把な質問であるため、返答に困ってしまう。
できれば、
「私は身長160cm、体重70kgで、血圧は150/100mmHgなんだけど、この食べ物って私にとって体に良いの?」
という聞き方をして欲しい。
そうすれば、私だってちゃんと答えることができる。
「食べずに運動した方がいいよ」って。
食べ物による体の変化は長い目で見て
残念ながら、特定の食べ物を数回摂取したくらいで、体に劇的な変化は起こらない。
例えばよく目にする「中性脂肪を減らす」という謳い文句の食品があるが、その効果を享受するためには、その食品を毎日かつ数ヵ月以上摂取し続けてようやく効果が表れるかどうかだ。
ただこれは、食べ物の長所ともいえる。食べる度に、体重が大きく増減したり、体脂肪率が劇的に減ったり、血糖値が乱降下したりすることを想像してみてほしい。食事をするのが恐ろしくなるのではないだろうか。
というか、そんな変化が起こったら体が悲鳴を上げて、確実に病気になってしまう。
変化が乏しいっていうのは、変化がないわけではなく、体を徐々に変化させていくことになるってことを忘れないで欲しい。
健康な食生活とは
健康な食生活ってのは、
腹八分目で、米も肉・魚も野菜もいろいろ食べる
ことなんじゃないだろうか。
特定の食べ物を食べ続けたり、食べなかったりすると、必ずどこかでバランスが崩れる。
偏らない食事ってのが最強の健康食だと私は思う。