ミュージアムの映画版と漫画版の違いを記事にします。
※ネタバレを含みます。まだ観てない人はブラウザバック推奨。
以前、ネタバレなしのミュージアムの感想を記事にしました。
今回はネタバレ全開で映画版と漫画版の違いを記事にしてみたいと思います。
主人公:沢村久志(演:小栗旬)の設定
沢村の設定は、映画版と漫画版にほとんど違いはないです。
ただ映画版の方がより荒っぽい人物のような感じがしました。小栗旬さんの演技によって、仕事中心で家族に無関心な性格がより増していた思います。良い演技でした。
カエル男:霧島早苗(演:妻夫木聡)の設定
殺人の動機には変更なし
カエル男である霧島早苗の殺人動機に変更はありません。歪みまくったサイコ野郎です。
霧島が猟奇殺人を行うきっかけとなったのは、幼女樹脂詰め殺人事件です。この事件は裁判員裁判により、大橋被告の死刑判決で幕を閉じます。しかしこの判決は冤罪だったのです。真の犯人は霧島早苗。
霧島は、自分の作品(殺人)を他人のものと判決した裁判員を制裁することにしたのです。
姉:橘幹絵(演:市川実日子)の追加
映画版から加えられた設定として、霧島早苗の姉:橘幹絵が登場します。
霧島の両親は、幼少期に両親を殺害されています。その際に姉の幹絵は、医者の家庭に養子として引き取られたのです。名字が異なるのはこのためです。
大人になった幹絵は医師となり、霧島早苗の主治医を担当していました。
霧島逮捕後、幹絵は入院中の霧島の病室を訪れ薬物を注射し、実の弟を殺害してしまいました。
光線過敏症の追加設定
映画版も漫画版も光線過敏症、いわゆる紫外線アレルギー患者であるという点は共通しています。
しかし、映画版は「心因性の」光線過敏症であるという設定が追加されています。これはラストシーンに影響する重要な変更点ですね。
私刑の種類
映画版も漫画版も、実行された私刑の種類は同じで合計6種類でした。
ドッグフードの刑
ターゲット:彼氏との同棲のため犬を捨てた女性
物語はこの私刑からスタートします。凶器は犬。その名の通り、犬に喰われて殺されました。映画でもこのヘビーな映像からスタートするので、緊張感が一気に高まります。
母の痛みを知りましょうの刑
ターゲット:ニート(実家に寄生)
出生体重と同じ重量をノコギリで切り出されて死亡。他の私刑は死体しか登場しませんが、この私刑だけは殺人課程を詳細に描いていました。
被害者を拉致するシーンは、映画で観るとドキドキ感MAXです。怖い。
均等の愛の刑
ターゲット:不倫をしていた男性
妻と愛人、どっちも好きなら半分こしようね。右半身と左半身がきれいに二分割!それぞれ体は宅急便でお届けします。生ものなのでクール便です。
ずっと美しくの刑
ターゲット:美容整形をくり返していた女性
そんなに美しい状態を維持したかったら、冷凍保存してやんよ!ということで、凍死ですね。整形部位の資料が死体の周囲に掲示されており、犯人の意地の悪さが垣間見えます。
針千本飲ますの刑
ターゲット:自称占い師
「嘘ついたら針千本飲ーます」をやってみてしまった模様。これ絶対痛い。死因は窒息死みたいです。
お仕事見学の刑
ターゲット:沢村遥(主人公の妻)
殺人を犯すのは霧島早苗ではなく、沢村久志。カエルのマスクを妻に被らせることで、霧島と誤認させ、銃殺させるというプラン。
家族関係を殺した(壊した)沢村に感銘を受けてしまった霧島が、沢村との共同作品を作りたいと願って生まれたこの私刑。
この計画は失敗に終わりますが、非常に悪趣味な殺し方です。
沢村の正常な判断力を失わせるためのジグソーパズル、そして家族を食べた!?と思わせる演出、吐きそうなくらい芸術的です。
用意された3つのエンディング
映画版では、
- 沢村が妻を殺し、沢村と息子が生き残るエンディング
- 沢村が霧島を殺し、家族全員が生き残るエンディング
- 家族全員が天国へ行くエンディング
の3つのエンディングが霧島によって明らかにされました。
それに対し、漫画版は1.と2.のエンディングは明らかになっていましたが、3つ目のエンディングはあくまでも沢村の想像でした。
これは、漫画版のようにぼかしておいた方が、カエル男:霧島早苗の不気味さが出てよかったんじゃないかと思いました。
ラストシーン
映画版は、ビデオカメラに映る沢村の息子が首を掻くシーンで幕を閉じます。これは漫画版には無い演出です。
このシーンの意図は、沢村の息子が心因性の光線過敏症を発症したことを示唆するものだと思います。
つまり、第二のカエル男:霧島早苗が誕生したのでは?という不安を煽るシーンですね。光線過敏症を発症したからといって猟奇殺人を犯すわけではありませんが、映画館で観たときはゾクッとさせられました。
上手い演出だと思います。
まとめ
原作の漫画版のミュージアムもおもしろかったですが、映画版もすごくおもしろかったです。
原作のストーリー・雰囲気を壊すことなく、良い脚色を加えてくれたと思います。そのおかげで、漫画版を読んでいたにも関わらず映画を楽しむことができました。